2016年1月26日火曜日

【連載:「パリ協定」は世界を変えるの!?】 第3回:「今世紀後半に、排出量は実質ゼロ!」

【連載:「パリ協定」は世界を変えるの!?】
第3回:「今世紀後半に、排出量は実質ゼロ!」
こんにちは、CYJアドボカシーチームの岩澤宏樹です!

この連載は、気温目標、緩和の長期目標、緩和の5年サイクル、資金支援、適応、損失と被害の6項目について解説します。今回は2点目の「緩和の長期目標」についてです。

パリ合意(Paris Agreement)4条1項の要約は以下の通りです。
・できる限り早く排出量のピークを迎える
・今世紀の後半中に排出と吸収・貯留のバランス(排出=吸収・貯留)を達成する。つまり、実質排出量は0になる。

「今世紀後半に人為的な排出と温室効果ガス吸収をバランスさせるために、急速な削減を行う」
(to achieve a balance between anthropogenic emissions by sources and removals by sinks of greenhouse gases in the second half of this century)と書かれています。つまり、将来的に「実質排出0が記載された」 ことを意味します。

COP21終了時の様子(写真右側が、議長国フランスのファビウス議長)

この目標はIPCCで2度目標のために必要とされている科学的根拠のある目標であり、「世界は将来化石燃料を使わない再エネ中心の社会へ移行する!」というメッセージであります。
田村賢太郎氏(IGES)によると、「パリ協定の最大の成果は、化石燃料に依存しない社会(低炭素社会)作りに向けて世界が動き出すことを、長期的シグナルとして社会、特に民間企業に対して発信したこと」としています。
このように、世界全体の今後の流れとして実質排出ゼロが打ち出されたことは、政府・企業・市民社会等の各アクターが低炭素化に向け動いていくことを意味します。世界の方向性を示したのがパリ合意4条1項であるといえるでしょう。

*参考
・IGES「COP21が2020年以降の新たな国際枠組み「パリ協定」を採択:
成果と課題」 

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