(※本記事は細心の注意を払いCOP16の成果について解説を試みましたが、万が一間違い等を発見された場合は、climateyouthjapan2010[at]gmail.com ([at]を@に置き換えてください)までご一報いただけると幸いです。)
3. 透明性とコンセンサス
国連における決議はコンセンサスが原則ですが、コンセンサスにならなかった場合、投票による決定についてCOP1から議論されています。COP16においても、初日にパプアニューギニア(PNG)から、投票条件を議論することについての提案がありました。これは、COP15のように、少数の国が反対することで、何も決まらないことを防ぐためです。しかし、ボリビア、インド、サウジアラビアなどが強い反対をしました。
しかしながら、ボリビアもPNGもCOP15のプロセスには不満を持っていることは同じです。それどころか、全ての国がCOP15のトラウマを抱えていると言っても過言ではありません。
そのため、メキシコ議長は、「透明性を何よりも優先する」と強く訴え、慎重に協議を推し進めました。1週目の週末には、条約とKPの下のそれぞれのAWGから、これまでの交渉の結果を踏まえた新たな文書が提案されましたが、メキシコ議長は、国連交渉の外では「新しい文書」も、「秘密交渉」も一切ないという宣言をしました。
また、Stocktakingと呼ばれる進捗報告の公開セッションを度々開き、各国からの意見を確認した上で、Drafting作業を行っていました。コロンビアは、12/5(日)のStocktakingで、「この部屋にはコペンハーゲンの亡霊がいる。みなで立ち向かっていくべき」と議長を強く支持し、会場から一斉の拍手を受けていました。
最終日の12月10日には、AWG-KP/LCAの結果について議長のノートが、選択肢を示すブラケットがほとんどなしで出てきました。ほとんど全ての国が賛同を示し AWG-KP/LCAでもCOP/CMPでも反対の意を示したのは、唯一ボリビアだけでした。「国連はコンセンサスで決めるため、ボリビアが反対している以上採択はできない。」しかし、メキシコ議長は、「これだけの時間とプロセスをかけ、多くの国が賛同しているのだから、これ以上の遅延は議長として呑むことはできない。ボリビアの発言を記録には残すが、採択する」と木槌を打ちました。メキシコ時間で、12月11日(土)午前3時30分頃のことだったと思います。会場では、Climate Youth Japanの佐藤と伊与田が事の顛末を見届けました。
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