2018年4月15日日曜日

【(株)大川印刷 大川社長インタビュー】

 こんにちは!CYJ 2018年度国内政策事業統括の新荘です。
 お気に入りのお弁当の、色鮮やかなパッケージや、旅の記念にもなるパンフレット。
これらがどこでどのように印刷されているか、みなさんはご存知でしょうか。
「印刷なんて、どこにお願いしても一緒でしょ。」なんて思っていませんか?
 実は印刷物一つとっても、どのような紙やインキを使って、どのように印刷するかによって、
環境に与える影響は大きく異なってきます。
 
 今回は、印刷インキに石油系溶剤を使用せず、印刷時の電力にともなうCO2の排出を実質ゼロにする
「環境印刷」を通じ、地球環境保護に積極的に取り組まれている(株)大川印刷の大川哲郎社長に、
インタビューをしてきました!
 環境にやさしい印刷をなぜ実現できたのか?
 「環境印刷」にたどり着くまでには、どのような道のりがあったのか?
直面した困難、そしてそれをどのように乗り越えられたか、ありのままに語っていただきました。
<大川哲郎社長 プロフィール>

1967年横浜生まれ。幼少期から生き物や植物、自然が好きで、自然と触れ合いながら育つ。
大学に入学した直後、父親を医療ミスで失う。
大学卒業後3年間、東京の印刷会社で修行後、大川印刷へ入社。
横浜青年会議所で、2002年社会起業家の調査研究、
2004年に企業の社会貢献・CSRの調査研究を機に、
2005年、本業を通じて社会課題解決を行う「ソーシャルプリンティングカンパニー®」
というビジョンを掲げ、現在に至る。
趣味は音楽鑑賞とギター(特にブルーズ)、旅。
Q. 社長の生い立ちはどのようなものだったのでしょうか?
 私は1967年に、横浜市磯子区で生まれました。磯子区は自然が豊かで、
四季を感じながら過ごしていました。
例えば、うちのすぐそばには沢があって、大雨の日にはカニがいたりなど、
季節ごとの生きものとのふれあいを楽しんでいました。
転機となったのは、大学1年のときに、父親を医療事故で亡くしたことでした。
自分にとってはすごくショックで、人間不信に陥りました。
そのような中で、大学を卒業する年に、アメリカ南部に行きました。
アメリカ南部のサザン・ロックが好きだったからです。
当時のアメリカ南部は白人至上主義者が多く、私も差別を受けました。
しかしながら黒人たちはとてもフレンドリーで、そこから黒人と黒人音楽が大好きになりました。
黒人の歴史を調べるにつれて、彼らが大変ひどい目にあってきたことを知りました。
それまで私は、自分がいちばん不幸なのではないかと思い込んでいましたが、
それが愚かなことだとわかり、立ち直ることができました。
 
Q. 大川印刷が「環境印刷」に至るまでには、どのような経緯があったのでしょうか?
 父とは17歳のときに家業を継ぐ約束をしており、
そのあと2年もたたずに父が亡くなってしまったため、迷いはありませんでした。
4代目の社長であった父が急死したので、母が専業主婦から、5代目の社長になりました。
私は3年間、同業他社に修行に行きました。3年経って会社に戻ってきましたが、
改善・改革がことごとく阻止される状況でした。
ちょうどバブル崩壊直後で、売り上げはどんどん落ちていきましたが、
社員の平均年齢が50歳に近く、前社長の息子でも若い者の言うことなど聞かない、
という人がほとんどでした。
当時は、タイムカードのレコーダーの前に、社員が列をなして退勤時間がくるのを待っていたり、
規律を守らない従業員が複数いたりなど、ひどい状況で、自殺しようとまで思いました。
どのみち仕事をするのであれば、自分の好きなことと仕事を一致させたいと思い、
小さい頃から生きものが好きだったことから、環境によい事業にシフトしていこうと考えました。
1990年代はちょうど、植物性インキである大豆油インキが出始めたころで、それを使おうと思いました。
紙も再生紙に変えようとしました。すると業界からは爪弾きを受けました。
「再生紙100%と書いておけば、客は気づかないだろ」とまで言う人もいました。
 2002年に、ターニングポイントが訪れました。当時私は横浜青年会議所に所属していたのですが、
そこで社会起業家の調査研究を行いました。
そのときに、ユニバーサルデザインの服飾デザイナーである、井崎孝映(いざき ゆきえ)さんと出会いました。
彼女の、障がいの有無にかかわらず、着やすくファッショナブルな洋服を提供することで、
洋服を通じて社会を変えたい、という思いを聴き、
自分が手段の目的化をしてしまっていたことに気づきました。
売り上げが落ちていく中で、自分の仕事が、注文を取り付けることになってしまっていました。
自分の事業を通じて社会を変えることの大切さに、なぜ今まで気づかなかったのだろう、
と思いました。そこから、印刷を通じて社会を変えたい、と思うようになりました。
そのあと2005年に、印刷を通じて社会課題を解決するというスタンスから、
「ソーシャルプリンティングカンパニー®」というビジョンを掲げて、代表取締役に就任しました。
その後、「印刷を通じて」というのが狭すぎると感じ、
より広く「本業を通じて」社会課題を解決するというビジョンに改めました。
会社としては、「情報産業の中核として、信頼に応える技術力と、喜びを分かち合えるものづくり」
を基本理念としています。
以前は利益を上げ、社内で喜びを分かち合えばよかったのですが、
いまはトリプルボトムライン(企業活動を経済的側面だけではなく、環境的側面、社会的側面も含めた、
三つの側面から評価する考え方)があるように、
社内だけでなく、顧客、社会、未来や地球とも喜びを分かち合えるようにしなければならないと解釈し、
現在に至っています。
Q. 社長ご就任前後で嬉しかったことはありますか?
 社長ならではの喜びはいくつもありますが、
一つ目は、事業を通じて社会課題を解決するダイナミックさ、二つ目は、従業員の成長ですね。
それらに加えて、100年企業のすごさを感じるときがあります。
100歳を超えている会社のOBに会いに行ったとき、その方は認知症を患っていたのですが、
創業130周年の記念誌を手渡すと、働いていたときの記憶がよみがえったようで、
「大川印刷!」と言葉に出してくださいました。
その方の娘さんは、大川印刷が協力して製作している『Oh!Okagawa News』という、
環境関連のフリーペーパーに、いまも協賛してくださっているそうです。
最近は3年以内に仕事を辞めてしまう人が多いようですが、
「一所懸命」という言葉の意味をもっと考えてもよいのではないかと思います。
Q. 石油系溶剤使用ゼロのインキの使用や、二酸化炭素の全量オフセットなど、
他社で実現できなかったことを実現できたのはどうしてでしょうか?
 印刷業界にはグリーンプリンティング認定制度という、日本印刷産業連合会が、
環境に配慮した印刷会社を認定する制度があります。
この制度ができる前からその制度に近いことを他社に先駆けやろうとしたことで、
思い切ったことを従業員がやってくれるようになったのが一つの理由です。
石油系溶剤を使わなくなったことにより、工場の環境がよくなり、働きやすくなったのです。
それがやがて、社会や顧客からの評価につながっていったと思っています。

 CO2の全量オフセットに関しては、横浜グリーン購入ネットワークの副会長を務めているのですが、
そこにはカーボンフリーコンサルティング(株)様が事務局としていらっしゃいます。
そうした方々とのネットワークはすごく大切で、情報がすぐに入手でき、
またアドバイスをくれたり、相談に乗ってくれる方々が、私の周りにはたくさんいます。
楽しんでやっていることで、そのような仲間が増えてきました。
私は横浜市地球温暖化対策推進協議会でも副会長をしていますが、
その中で参加してみないかとお声かけいただいたのが、ソーラーフロンティア(株)様が提供されている、
「事業者向け初期投資『0円』太陽光発電システムの設置事業」です。
いまの時代、1人・1社でできることは限りがあります。
ですから、学生や大学、行政、地域の市民とも連携するスタンスが大切だと思います。
 やはり環境活動を好きでやっている、というのが一番大きいでしょうね。
情熱を失ったら終わりだと思います。その上で従業員が協力してくれたからこそ、実現できたと思っています。
Q. 環境印刷を始められて、変化したことはありますか?
 環境印刷を始めるにあたって、私は従業員に、
「自分の子どもや孫の世代まで、いまの環境を残す、
あるいは環境をよりよくするために、いま何ができるかをちゃんと考えよう」
という話をしました。それもあって、従業員も子どもや孫に伝えることを意識して、
植樹活動に子どもを連れて行ってくれるようになりました。
社会まで変化させられるようになるのは、これからですね。
 
Q. SDGsを通じて、他のアクターとの協働は生まれているでしょうか?
 2014年に、大学生のインターンシップのプロジェクトとして、
おくすり手帳プロジェクトを半年間行いました。
これは、お年寄りが使いたくなるおくすり手帳を開発しよう、というものでしたが、
そのあとのインターンシップ生が、中国語版のものを開発しました。
そのときにヒアリングに行った「共生のまちづくりネットワークよこはま」から、
もっと多言語化しようという提案があり、ジャパンハウジング(株)様も含めた3者で連携し、
日本初の4ヶ国語版おくすり手帳が完成しました。
こうした形で、民間企業も市民団体も学生も一緒になって何かを作り上げる、ということができ始めています。

もう一つの例としては、バラの「ありがとうカード」があります。
「ありがとうカード」は、前日にしてもらったことに対する感謝を書いて、お互いに交換し合うものです。
2017年に、横浜開港記念日でもある6月2日が「ローズの日」と制定され、
横浜市の花であるバラをキーワードにして、横浜市民のシビックプライドを醸成する
バラの産地であるブルガリアで、バラの収穫時期に感謝を込めて、
バラの花やローズウォーターを使ったお菓子などを贈り合う慣習があることが、一つの背景になっています。
このプロジェクトには横浜市だけでなく、企業や学生も参加し、みんなで進めようという動きになっています。
大川印刷では、1920年の大川印刷活字見本帖の中にある石版印刷のバラの絵柄と、
当時横浜で使われていた活字のデザインで制作した「ありがとう」を合わせ、
ブルガリアンローズの香りを添えて、「ありがとうカード」を作りました。
これには、ジェンダー平等や平和への願いも込められています。
この「ありがとうカード」を通して、多くの人たちとの連携が生まれています。
Q. 今後のご展望をお聞かせください。
 2018年中に太陽光発電を本社工場に設置し、残りを新電力に切り替えることによって、
再生可能エネルギー100%を達成します。
また、2020年までにFSC認証紙の使用を全体の65%2017年度は39%)に引き上げ、
社内で使用するインキを100%ノンVOCインキ石油系溶剤0%インキ)に切り替え、
ゼロエミッション工場にする目標を掲げています。これは私が勝手に言っているわけではなく、
それぞれの目標を担当するプロジェクトがあり、そこで議論されたものです。
Q. 事業を通じて目指されていることや、人生の目標をお聞かせいただければと思います。
 ありがたいことに、会社の歴史が横浜の印刷の歴史とほぼ一致しているので、
横浜の印刷の歴史や文化を、日本に、あるいは世界に伝えていくことが、一つの使命だと思っています。
もう一つは、自分の仕事を通じて、一つでも多くの幸せを生み出すこと。
これらを自分の使命として考えています。
達成して人生を終えるものというよりは、追い続けるものであっていいと思っています。
Q. 若者に期待されていることはありますか。
 若者との連携の可能性は無限大にあると思っています。
多様性の理解や若者の活躍のように、様々な言葉が飛び交っていますが、
お互いがどのような成果を生み出そうとしているのかを明らかにし、
本質的なところを理解し合いながら連携することが必要だと思っています。
Q. 最後に、次世代を担う若者へのメッセージをお願いします。
 自分の使命がすぐにはわからなくても、考え追い求め、行動し続けることが大切だと思います。
自分が生まれてきたことには絶対意味があるはずで、それを見出さなければなりません。
それをあきらめてドロップアウトしてしまうのはもったいないと思います。
 何かしようとしていることについて、何のために、誰のためにやろうとしているのか、を問い続けること。
従業員には、印刷の注文を取り付けることではなく、
印刷物を通じて社会をよりよくすることが目的だったのではないか、という話をよくしますが、
若者に対しても同じことがいえると思います。
最初の目標は就活で内定をもらい、就職することでもよいかもしれませんが、それは手段ですよね。
何か社会に貢献するとか、幸せになるとか、誰かを幸せにすることが目的であるはずです。
自分の人生の本当の目的は何か、若いうちから考えていただけたらと思います。

2017年11月3日金曜日

<COY13 Day 1 ドイツ・ボンより>
皆さんこんにちは!COP事業の塚本です。
昨日より、COP23開催前に3日間かけて行われる、ユースカンファレンス COY13に参加しています!
CYJからの参加メンバーは、日本から渡航したメンバーから、現在ドイツに留学中の学生までいます

 COY13では、世界中から集まった気候変動に関心を持つ、または実際に彼らの母国や国を股にかけて活動しているユースによるワークショップが数多く開催されます。
扱われるトピックは幅広く、例を挙げると森林伐採、鉱山開発による水質汚染、植民地的開発の是非、各国ユースの気候変動やエネルギー問題への取り組み紹介などなど多岐に渡ります。
各メンバーは各々関心のあるワークショップに参加しました。
私が昨日参加したしたワークショップは主に二つあり、一つはYOUNGO (国連に唯一認められた、国連会議におけるステークホルダーとしてのユース団体)主催のディスカッションイベントです。
90分間かけて、参加者と主催者側が混ざり合い五つのトピック(気候変動難民の為の社会保障・途上国への廃棄食料輸送・開発途上国での環境破壊の正当性・環境正義の偏在性・外国資本による発展途上国への投資活動)に関する議論が行われました。私も議論に混ざり幾つか発言をした中で、率直に感じたことは、私も他の参加者も殆ど同じような「最もらしい主張」を掲げていたことです。議論の核心に迫るような、また問題の争点を深く掘り下げていくような発言は殆どなく、90分間ずっとモヤモヤしたままワークショップの会場を後にしました。会場の外に一度出てから、このワークショップの参加者のフランスユースと二人で昼食を食べながら、先ほどの議論に立ち返りました。そこでは、お互いの率直な意見をぶつけ合うことができました。そこで感じたことは、一対一で自分の考えや思想をぶつけ合うことは出来ても、多人数とのセッションでまだまだ周りに合わせてしまう自分の未熟さです。本日行われるCOY13ではより積極的な発言をし、また他人の意見を自分の中で慎重に咀嚼することで、気候変動やエネルギー問題への理解をより深める次第です。












二つ目のワークショップでは、UN Youth Delegation Programmに参加するための戦略策定について議論しました。Climate Youth Japanは、ここ数年間COPに政府代表団の一員として参加し、会議場での発言権を得る為の活動を行ってきました。手段としては、省庁との意見交換会や、議員の方へのロビイング、中央環境審議会でのプレゼンなどを通じて交渉を行ってきました。しかし、毎度結果は同じで、柔らかく断られてきました。しかし、先日行われたCOP23直前合宿にてこのままではいかんということになり、新たな交渉の道を模索することになりました。そこで本ワークショップに参加し、実際にYouth Delegation Programmを利用してCOPに参加しているドイツ・オランダ・ハンガリーユースや、我々と同じくして本プログラムに参画したいユースが集まり90分間質問と議論を行いました。結果としては、気候変動問題に関心のある議員へのロビイングの強化を行なっていくと同時に、本プログラマへの具体的な参画方法や戦略立てをこれらのユースと共に立てて行くことになりました。その為に、COY13/COP23期間中に彼らにインタビューを行い、更にはCOP23終了後も密に連携を取り、参画への道筋を今までよりも具体的に示していくことが望まれます。












最後に、初日が終了し、会場で無料のスナックが用意されていたのでそれをみんなで食べ、ホテルに戻りました。
ホテルのロビーで、みんなで卓を囲みながら各メンバーの活動内容や、活動の反省や気付きを共有しました。












本日二日目の活動内容の投稿は、明日の同じ時間に流れますので、是非チェックしてみて下さい!

2016年11月22日火曜日

COP22 海外ユースとの交流

CYJはCOPの派遣先で海外のユースとネットワークを広げる活動をしています。
COP22でも、アジアユースをはじめ欧米、アフリカのユース達と交流しました。

下の写真は、中国ユース主催の勉強会に参加したときの写真です。













海外ユースと会話をしていると、自国のユースとの議論のなかでは得られないような気づきが得られることがあります。この勉強会の後に中国のユースと話をしていたのですが、多くの中国ユースは中国の政治家の気候変動政策に対して比較的前向きな感想を持っていました。

もちろん2℃や1.5℃目標のためにはもっと対策を前に進める必要があるという認識はあるのですが、中国は再エネへの投資や国の目標であるNDCについても積極な姿勢・ビジョンを持って政策を進めていることを彼らは評価していました。

確かに中国は世界最大の排出国として、パリ協定の発効についてもリーダーシップを発揮しました。さらに再エネの輸出国としても大きな役割を果たしています。

もちろん、大気汚染問題や外交的な理由もあるのでしょうが、中国の政治家には気候変動政策を積極的も進めていこうという意志が感じられます。

一方で日本の政治家には、日本のユースとしてはあまり強いビジョンや意志を感じることはないなあと改めて感じさせられました。

気候変動は、長期的なビジョンを必要とする政策です。
政治家がビジョンを示すことは極めて重要だと思います。一方で、若者がどんなビジョンを持っているのか、そのビジョンを達成するために必要なことは何か、必要な活動を今できているか、改めて振り返る必要がありそうです。




国際社会におけるYouth の役割

こんにちは。今日はCOPに参加してみて感じた海外ユースの力強さと、それを支える制度について書きたいと思います。世界のユース(特に欧米系)は日本ユースが学ぶべき活動をたくさんしています。また、社会的・制度的にもユースが重要なステークホルダーだと日本よりはずっと認められているように感じました。




左の写真 はClosing the emissions gap - for pre-2020 action というアクションで、COP会場内でユースが中心になって行われていました。

各国が提出している温室効果ガス削減目標と1.5℃シナリオの間にあるギャップを埋める必要があることを訴えていました。






次の写真は、ユースの活動にもっと資金面の援助が必要だと訴えています。ユースには能力があり、もっと資金面での援助があれば、もっと大規模な活動ができることを述べています。

発展途上国、先進国問わず様々な国のユースが集っています。





このように、ユースがアクターとして多くのアクションを主導しています。ユースが行うアクションは元気がよく活気がある印象でした。



また、YOUNGOというUNFCCCによって公式に認められている世界のユースのグループは、
COPの議長と対話を実施する機会を得たり、意見書の提出を行ったりしています。

YOUNGOの一つのワーキンググループが今年のCOP期間中に提出したペーパーでは、世界各国が提出したNDC(Nationally Determined Contributions)に教育や若者の観点が含まれているのかどうかを独自に分析しています。

下の図は、その分析結果が地図としてまとめられたものです。濃い色がマークされている国ほど高いスコアを獲得しています(評価が高い)。ちなみに日本は教育や若者について言及がほとんどないと評価されています。


YOUNGO ACE WG Nationally Determined Contributions Analysis より引用。


このように、グローバルな舞台ではユース(若者)が自分たちも重要なステークホルダーであると自覚し、意見を発信し、活躍しています。



次の写真は、ユースがパリ協定特別作業部会(APA)という会議のオープニングセレモニーでスピーチをしている姿です。正式な会議のオープニングセレモニーで様々な立場のNGO等がスピーチをするのですが、そのなかに「ユース、若者」がしっかり含まれています。




若者が気候変動問題にとって重要なステークホルダーであると社会的に認識されています。


国際社会では、ユースは自分たちの役割や能力について自覚し、着実に行動しています。また社会としても、ユースに意見を述べる機会を提供しています。



日本においては、まだまだユースが重要なステークホルダーだという認識が社会的に足りないのでしょうか?また、ユースとしても自分たちの役割について自覚や活動が足りないのではないか?と考えさせられました。

以上です。


2016年11月21日月曜日

COP22 中小企業の世界への挑戦!


株式会社 鳥取再資源化研究所 ご担当者様へのインタビュー記事 

こんばんは!COP会場には様々な企業のブースがありますが、今年はアフリカ開催だからなのか日本企業はあまり見かけません。

 そんななか、鳥取再資源化研究所という鳥取の中小企業が出展されていました!! http://www.t-rrl.jp/

廃ガラスをリサイクルした発泡ガラスという商品を乾燥地域の農地に利用することで、節水と収量増加が期待できるようです。 社員9名という少人数ながら、県や鳥取大学等と協力して、世界の乾燥地帯にビジネスを展開されています!!

COP会場に来て、世界のビジネスは気候変動をまさにビジネスチャンスとして捉えていることをひしひしと感じます。 鳥取再資源化研究所さんのような企業がどんどん増えていくことを期待したいと思いました!




 









鳥取は砂丘があることもあり、乾燥地研究が進んでいます。その知識、知恵の蓄積を官民一体になって事業化し、世界へ広げる素晴らしい取り組みだと感じました。
(以下は毎日新聞の記事) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161112-00000047-mai-soci

日本の各地域にある固有の生態系、気候、文化、とその地域研究を活かした世界への挑戦というのはとてもロマンがあります。 例えば、鳥取なら乾燥地、滋賀なら湖沼。という風にです。

 気候変動対策の文脈で、"緩和"と"適応"という2つの言い方があります。 温室効果ガスの排出を、減らして影響を緩和するのは重要ですが、どうしても生じてしまう影響に適応していくことも必要です。

そして、その"適応"は、一つのやり方を世界に広げるのではなく、まさに各地域それぞれ固有の生態系や文化への深い理解を必要とします。 その多様な問題を、世界や国の規模ではなく、地域と地域が、つながることで問題を解決していく。そして、そこにビジネスチャンスがあるのでは? と思いました。

2016年11月14日月曜日

【COY12での主な活動・COP22に向けて】

こんにちは!

2016年11月にモロッコ・マラケシュで開催されるCOY12/COP22の派遣メンバーのツカポンです。COY12初日からCOP22三日目まで参加したところで、私は翌日の朝に帰国することになりましたので(大学の授業の関係により)、これまでの振り返りをここに書き記します。

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COY・COP共に初参加である私は、以前もブログで書いたように不安を抱えながらの参加となりました。国内政策や国際交渉の流れはインプットしてきている一方で、COY・COPに関しては会場のイメージや会場の雰囲気、スケジュールなどは体感的に殆どつかめていませんでした。実際に参加してみると、下調べしてもどうにもならないな、という感覚を覚えたこともしばしばあります。会場やスケジュールなどは開催国のユースや政府によって変わってくるので、その場その場で適応せざるを得ないのかなと思います。

COY12ではインタビューやWorkshopへの参加及び、YOUNGOのミーティング参加が主な活動となりました。CYJにとって最も意味のある活動となったのは、やはりYOUNGOによるYoung Delegation Program参画のための提言書作成活動でしょう。ただ、CYJがこのプロジェクトに参加した時点で、プロジェクトは大きく前に進んでいたので関与の程度は低いと言わざるを得ませんでした。しかしこの状況は、Youth Delegation Programに強い関心を寄せるCYJとしては好ましくありませんので、COP22期間中に毎日行われるYOUNGOの会議や各Working Groupの活動に、密接に関わっていくことに決めました。

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COP22が始まってからは、APAやSBIなどをはじめとする会議に参加し、情報を取りに行く日々が続きました(一日目から二日目はでは、議論は殆どなされなかった)。ただしすべての会議に出てすべての情報を網羅するには、あまりにメンバーの数が少なく、記者ブリーフィングで他のNGOの方々の発表を基に交渉の流れや内容をまとめることになりました。Youth Delegation Programについてはヨーロッパユース(Youth Delegation Programを利用してCOP22に参加)と繋がりを作ることには成功したので、あとは現地にいるCYJメンバーがYouth Delegation Program参画への戦略を練っていくことになっています。

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COP22はまだまだ続きます。CYJが国内の政策提言活動で活用できるものを成果として持って帰るために、Youth Delegation Program参画を容易に推し進めるために他国ユースとの連携やメディアとの繋がりは、重要な要素となり得るでしょう。現地メンバーと国内組とが力を合わせて、COP22後半の活動をより意義のあるものにしていきます。

【COP22初日!!会場はどんな感じ?】

こんにちは!

2016年にモロッコ・マラケシュで開催されるCOY12/COP22の派遣メンバーの桐畑です。11月4-6はCOY(Conference of Youth)に参加していたのですが、11月7日ついにCOP22が開幕しました!!ここでは、COP会場がどんな感じか?私達なりに説明したいと思います!!

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ブルーゾーンにてThe AAA initiativeの展示に見入るメンバー

COPの会場はブルーゾーンとグリーンゾーンという二つのゾーンに分かれています。ブルーゾーンには、「会議場」「パビリオン(国などによる展示)」「サイドイベント会場」が、グリーンゾーンには「企業やNGO、様々な団体の展示」があります。

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会議場の様子

“国際会議って政治家や官僚が交渉する場じゃないの?なぜこんなにたくさんイベントをしているの??”と思いませんか??私はCOPに参加してみて最初に驚いたのが“多様性”です。COPでは、多様な立場の人が参加して気候変動に関わる多様なテーマについて情報発信や問題提起をしています。

国の代表だけでも、「先進国の代表」「今まさに経済発展している新興国の代表」「最貧国と呼ばれる国の代表」。それだけでなく、ノンステートアクターの重要性もCOPでは大変重要視されています。例えば、「NGO」「ビジネス」「先住民の人々」「若者」等などが挙げられます。

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ブルーゾーンのサイドイベント会場にて先住民の支援を行う団体のブース

パリ協定では、今世紀末までに排出と吸収をバランスさせるという意味において実質排出ゼロを目指すことになりました。ゼロカーボンの未来をつくるには、全ての主体の気候変動対策への参加が欠かせません。また、気候変動による台風等の影響は、インフラが整っていない途上国の方が深刻であると考えられます。字が読めない人、女性、子供、障害のある方など社会的に弱い立場の人には特に配慮が必要です。このように気候変動の影響は、世界各国それぞれ異なり、多様な主体が関わっていく必要があると言えます。

多様性と異なる状況への配慮が必要だと感じました!

以上です。