森林科学科を出た人間として,私はREDD+ の議題には興味がありました。
EUパビリオン・USセンターで聴いてきた発表の印象を記します。
今回の争点は以下の通りです。
1)セーフガード(REDD+による悪影響を防止するための決めごと)
2)森林の参照レベル・参照排出レベル
3)CO2の測定、報告、検証(MRV)の方法
4)各国の森林モニタリングシステム構築
実は,私が調査地にしていた北海道大学の天塩演習林にて,
CO2フラックスの研究が行われています。
(陸域生態系炭素収支モニタリング
http://db.cger.nies.go.jp/gem/warm/flux/1forest/teshio/index.html)
31mのフラックスタワーで,伐採前,新植後,育成過程での
炭素収支を測定しています。
だから,国際交渉の絡みでどのように調査結果が扱われるのかな…と気になっていたのです。
森林は,広範囲の地域で急激な減少が起こっています。
アマゾンは特に指摘されているところです。
森林面積の年次変化を示す図からは,参照年をいつにするかで
目標とする森林の状況が全く違うことが明らかに示されます。
しかし,薪に頼って生活している人にとっては,伐採制限が死活問題になります。
「パン(薪)がないなら,ケーキを食べれば(天然ガスを使えば)いいのに」にならないように,
発表する側の先進国と,実際にそこで暮らしている国の人たちとの現状認識や思考回路の溝うめをしなければ,根本から議論にならないのではないかと感じました。
また,巨大外資系企業の動きも気になります。
森林破壊の最も大きな原因が商品作物栽培のための農業である,という指摘もありました。
日本もまた関わっている分野ですので,非公開が増えてきた会議の内容にも注目したい所です。
こはる
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